身体を洗い終わったので
湯船に浸かろうと足を入れようとした時、
突然恨めしそうな呻き声が風呂場に響いた。
驚いた俺は風呂場を見渡すが、
声の発生源らしきものは見当たらない。
もしかして家に誰か侵入したのかと思い、
バスタオル一枚で部屋を一通り見渡てみたが、
侵入した形跡はおろか何の気配も感じなかった。
風呂場に戻り再び風呂場を調べてみるが
やはり怪しいところは何も無い。
まさかこんな所にいないだろうとは思いながら
風呂の蓋を開けてみたが、
当然ながら何も無かった。
どうやら唯の空耳だったようだ。
それより、すっかり湯冷めしてまったようだ。
明日は仕事は休みだし、
今日はゆっくり湯船に浸かるとしよう…
【解説】
『身体を洗い終わったので
湯船に浸かろうと足を入れようとした時』
この時点ではお風呂の蓋は開いている。
しかし、
『まさかこんな所にいないだろうとは思いながら
風呂の蓋を開けてみたが』
この時にはお風呂の蓋が閉まっている。
一体誰がお風呂の蓋を閉めたのだろうか…?
お風呂の蓋が勝手に閉まっていただけで
特に実害があるわけでもないが、
ちょっとおかしなことが起こってしまうと
怖い方向に考えすぎるので、
実害がなくてもこういう出来事は起きてほしくないものである。