3月。
寒さの中にも春の陽気がちらつき始めている東京。
駅のホームで電車を待つ。
憧れの駅。
賑やかなホーム。
周りで待つ人々。
4月から始まる新しい春に想いを寄せているみたいだ。
泣いてる人がいる。
満面の笑みに涙が光る。
私の頬にも涙が伝う。
私はお守りから小さな紙を取り出した。
大事な探し物が書かれた紙だ。
私はその紙をギュッと握り締めた。
電話をする声。
「あ、電車来たみたい。じゃS駅に12時ね。」
多分君はそれに間に合わない。
一層賑やかなホーム。
数字の書かれた小さな紙が宙を舞った。
【解説】
『私はお守りから小さな紙を取り出した。
大事な探し物が書かれた紙だ』
語り手はお守りの中に
受験票を忍ばせていた。
しかし、大事な探しものであった、
合格者発表に書かれているはずの番号がなかった。
つまり、受験に落ちてしまった。
『「あ、電車来たみたい。じゃS駅に12時ね。」
多分君はそれに間に合わない』
というのは、語り手が電車に突っ込んで、
人身事故により電車が遅れるため。