まいったな~。
小さい頃からのダチのMってヤツなんだけど、最近会うたびに「うわぁ、こっちにも・・・なんで・・・!?」とか「まわりにいっぱい・・・!」とか、わめいてしょうがないんだ。
俺と違って霊感なんて全くなかったヤツだから、急に見えるようになって怖くてしかたがないのはしょうがないだろうけどさ。
いいかげん慣れろって。
庭付きの下宿先やっと見つかったから来月には遠方に引っ越す予定だけど、大丈夫かなアイツ。
まあ、友達たくさん紹介してやったから何とかやっていけるとは思うんだが。
いつまでも俺にくっついてまわるの止めて、いい加減自立しろよ。
たのむぜ・・・
【解説】
語り手には霊感があるが、Mには霊感がない。
しかし、急に見えるようになってしまった。
これはM自身が幽霊となってしまったから、
他の幽霊が見えるようになった。
『いつまでも俺にくっついてまわるの止めて』
Mは幽霊として語り手に憑いている。
しかし、なぜ語り手に憑いているのだろうか?
『友達たくさん紹介してやったから』
ということから、他にもたくさん
語り手に憑いていることが言える。
『庭付きの下宿先やっと見つかったから』
語り手は庭付きの家を探していた。
何のために?
死体を埋めるためではないだろうか。
つまり、語り手に憑いている理由は、
"語り手によって殺されたから"
おそらく現在でもすでにたくさんの人を埋めていて、
もう埋めきれなくなったから引越しをするのだろう。
『友達たくさん紹介してやったから何とかやっていけるとは思うんだが』
から、遠方に行けば憑いてこないことがわかっている。
つまり、地縛霊のようなもので、
今の家のどこかに殺された人たちが埋められている。