自分と友人二人で海に行く事にした。
肝試しもかねて夜に行こうという事になり
三人で自転車を走らせた。
友人というのは、霊感がまったくないFと
写真を撮られると、たびたび心霊写真ができ、
霊感が凄くあるY(自分はまったくないです)。
海につき、小屋に自転車を止めて
適当にダベりながら歩いてた。
しばらくしてから、
「結局幽霊いねえじゃん」
みたいな話題になった。
するとYが
「?おまえら気づいてないの?
すぐそこにいるじゃん」
と言ってきた。
正直、お前のそれ馴れたわ、
とか思っていたら
いた。
遠くの海面から出ている頭のようなものが…
最初は、よく海に浮かんでるボールかな?とか
思ったが、長い髪の毛&顔が…
「なんで気づかないの?ボケてんのか?」
とYに言われるのもつかの間、
ダッシュで逃げました。
初めての霊体験でした。
「お前なんで、早く教えてくんなかったんだよ!」
「いや、とっくに気づいてるのかと思ってさ。
平気なのかな?と思って」
「俺とFドンだけノーリアクションなんだよ」
という会話をしていたら
「実は俺みてないんだけど。
もう一回いかね?」
と言ってきた。
冗談じゃねえわ!(゜ロ゜;とか思ったが、
ヘタレだと思われるのもイヤなので
もう一度行く事にした。
砂浜に到着する
「ほらほら、すぐそこにいるじゃん」
とYが言う。
暗闇の中で目を凝らすと…
いた…さっきの女だ。
さっきの位置から少し違うところに立っていた。
今度は腰から上が見えた。
ワンピースを着ている。
またダッシュで逃げた。
「おいおい、早く帰ろうぜ?(泣)」
と俺が言うと
「ごめん、また見えなかった」
とFが言う
(そろそろいい加減にしろ!)。
「あんなにわかりやすかったのに、
まだわかんねえのか?
霊感ないんじゃねえの?」
とY。
またまた行く事になった。
海に行こうと小屋を通りすぎようとすると、
Yの様子が変わった。
「おい!!おまえら早く逃げるぞ!!!」
と叫んだ。
Yが急に尋常じゃないぐらい怯えだした。
Yが見てる方を見ると…
さっきの女が小屋から右半身を出して
こっちをジッと見ていました。
小屋が邪魔で幽霊が見えずに、
かなりの距離まで
接近してしまっていました。
「うわあああ!!!」
叫ぶ俺。
「ヤバイヤバイヤバイヤバイ」
震えるY。
「えっ全然見えないんだけど!!」
アホなF。
三人でまたまたダッシュで逃げました。
時々振り返って見ると、
見えなくなるまで
こっちをジッと見ていました。
「はあはあ、もう大丈夫じゃね?つかYこら!
お前霊感ある癖に役に立たねえな!」
と俺が言う。
「え!?え!?全然見えなかったんですけど!!」
とFが言う。
するとYが
「…なんでもっと早く教えてくれなかったんだよ」
【解説】
Yが見ているのと、
語り手が見ているのは違っていた。
Yは別のものを見ていたため、
何度も見に行けたが、
語り手が見ていたものはヤバすぎて、
それに気付いたYはパニックになってしまった。
しかも、この女の幽霊、
最初は頭だけ海面から出ていたのに、
次は腰から上が見え、
最後に小山で来ていた。
この女の幽霊はだんだんと近づいてきている。
さて、これからどこに行くのだろうか?
それにしても、
三人は自転車を小屋に止めたまま
ダッシュで逃げてしまっている。
果たして自転車を取りにいく勇気は出るのだろう…?