アフリカで私が写真撮影をしていた時の事。
望遠レンズで遠くを見ていたら大木(バオバブとかではない普通の樹木)に地元の人たちが10人位登って下を見ていた。
下を見るとライオンが呑気そうにいて、その近くに帽子が一つ落ちていた。
もう一回木の上を見ると、登っている人たちはみんな落ちているのと同じ帽子をかぶっているではないか。
「おやおや、帽子を落としたがライオンがいるので取りに行けないらしいw」
私は笑ってカメラから目を放し、別の撮影に向かった。
【解説】
「登っている人たちはみんな落ちているのと同じ帽子をかぶっている」という一文がある。
そう、「みんな」帽子を被っているのである。
だれも、帽子が無い人はいない。
しかし、木の下にも帽子が1つ落ちている。
いったいこれは誰のだろう?
もうお分かりだとは思うが、誰かが帽子を落としたのではなく、誰かがライオンに食べられて、結果として、帽子だけが残ったのである。