夜中に俺は彼女とドライブに行った。
人気のない所に車を停め、シートを倒し、星を眺めていた。
「A君、私の事好き?私はこんなに好きだよ」
彼女の顔が星空を隠す。
じっと見つめあう俺と彼女。
「したいの・・・A君・・・」
上気した顔でつぶやく彼女を俺はいつまでもまばたきもせず見つめていた
【解説】
『俺はいつまでもまばたきもせず見つめていた』
というところから、
目を見開いて殺されてしまっている。
『したいの・・・A君・・・』
は「死体のA君」という意味。
彼女が別れ話でも切り出されて、
語り手を殺してしまったのだろうか?
殺してでも自分の物のしたいという願望は非常に怖いものである。