おばあちゃんが、
両手に大きな袋をひとつずつぶらさげ、
えっちらおっちらと歩いています。
警官、それを微笑ましく眺めていると、
片方の袋からひらひらと何かが落ちました。
近づいて拾ってみると、10ドル札。
おばあちゃん落としたことに気がつかず、
そのまま歩いていきますが、
また数メートルいくと、
ひらひら、と10ドル札を落としていきます。
警官、それも拾って、
おばあちゃんの後を追いかけます。
おばあちゃんはまだ気がつかず、
更に数メートル進むと、またひらひらと
10ドル札を落としていきます。
よく見てみると、
片方の袋には10ドル札がぎっしり。
そこから落ちているわけです。
不審に思った警官、
おばあちゃんを呼びとめます。
警官「おばあさん、お金が落ちましたよ。
ところで、その袋、たくさんお金が入ってるみたいですけど、
一体どうしたんですか?」
おばあちゃん、
お金を拾ってくれた警官にお礼を言うと、
笑って説明します。
「おまわりさん、
決して怪しいお金じゃないんですよ。
実はね、あたしゃ草サッカー場の隣に住んでるんですが、
そこでサッカーしている連中が、
ビールを飲んではあたしん家の垣根に向かって
立ちションしていくんですよ。
おかげでうちの垣根がオシッコ臭くてたまらなくなってねえ。
あたしゃ頭にきて、ある日垣根のこちら側に隠れて、
立ちションしようとしてオ○ンチンをほり出したとき、
パっと手をのばしてソレをつかみ、
もう片方の手にハサミを持って、こう言ったんですよ、
『ナニをちょん切られたくなかったら、
罰金として10ドル出しなさい!』ってね。
この10ドルはそうやって集めたんですよ。
おかげでうちの垣根にオシッコする輩はいなくなり、
お金も儲けて一石二鳥というわけなんですよ~。
だから、ドロボーしたお金とか、
そういうものじゃないんですよ」
警官、大爆笑して
「やるねぇおばあちゃん!
う゛……」
警官は青ざめて
走って逃げていきました。
【解説】
片方の袋には10ドル札。
もう片方の袋には…
10ドル支払わなかった『ナニ』が入っていた。
警官は青ざめて逃げるのではなく、
捕まえなければいけないのではないだろうか…