ある職人が客の家でカーペットを敷き終わり、
一服しようとしたが、
ポケットに入れておいたはずのタバコが見つからなかった。
職人がタバコを探して辺りを見渡すと、
カーペットの一部が盛り上がっていた。
今さらカーペットを敷き直すのは面倒だったので、
職人は木槌でカーペットの下のタバコの箱をつぶして平らにし、
何事もなかったように客に作業の終わりを告げた。
「まあ、なんて見事な仕上がりなの!」
カーペットを見た婦人が喜びの声を上げ、
ポケットをまさぐりながら言った。
「あ、そうそう。これがキッチンに落ちてましたよ」
婦人は職人にタバコの箱を差し出した。
「ところで私のハムスターを見ませんでした?」
【解説】
語り手がタバコだと思っていた
カーペットの盛り上がりは
ハムスターだった。
はたしてこの語り手は
正直に言うのだろうか?
それとも、
このまま放置するのだろうか?
放置するのだとしたら、この婦人は
カーペットの下にハムスターの死骸がある状態で
毎日生活することに…
語り手がどういう選択をするのか気になるところである。
何事もなかったように終わらせているから、
きっと放置するんだろうなぁ…