目を開くと真っ暗だった。
そこにいるのが躊躇われて
ぼくはただ走った。
走る度に嫌な音がが背を這う。
とても近くで気味の悪い笑い声が聴こえる。
『こんばんは、ぼうや』
それは最近テレビを賑わせている殺人鬼だった。
夢を見た。
薄暗い教室。
ニュースであんな事言ってるから、
夢に出て来たんだと安堵して急いで帰る。
ショートカットのために渡り廊下を歩く。
そういえば耐震工事で工事中だったんだな。
月の光もシートに遮られてる。
―――グチャ
それは背を這うような嫌な音だった。
【解説】
最後の一文から最初の一文に戻る。
つまり、語り手は殺人鬼に殺され、
それがループしている。
ループに気付くことはあるのだろうか?
ループに気付くことができたら、
その場所に近づかなければいい、
と思ったら、起きてから意外とすぐに拉致されている。
このループから抜け出すのはかなり大変そうである。