ある日、父から初めて手紙がきた。
一人暮らしを始めて八年。
手紙どころか、
ここ数年実家とは連絡すらとっていなかったから、
生存確認かな(笑
~朋子、元気そうでなによりだ。
仕事も順調そうじゃないか。
上司との付き合いも大事だが、
女がそう遅くまで出歩いてはいけない。
そうだ、郵便物をそのままゴミに捨てるのは
いい加減やめなさい。
世の中変な人間が増えてるからな。
昨日、自宅の方に電話したんだが。
まぁ、たいした用事じゃない。
だが、昨日は8時には帰ってなかったか?
いる時はちゃんと電話にでなさい。
最後に、この手紙と同じくらいに荷物が届くと思う。
オマエが大好きな物だから送っておいた。
では体に気をつけて。~父~
『ピンポーン』
タイミングよくインターホンが鳴り、
父からの荷物を受け取った。
大きめのダンボールでずっしり重い。
田舎のミカンかな。
確かに好きだけど。。
こんなにあっても食べる前に腐っちゃうよ。
あ、もうこんな時間。
私は鞄からケータイを取り出した。
彼氏であり上司でもある彼に電話をかける為だ。
『プルルルル。。プルルルル。。』
【解説】
語り手をストーカーしている父親。
送られてきた荷物は
彼氏であり上司でもある彼の死体。
ダンボールを開けたあと
語り手はどんな反応をするだろうか?
そして、その反応を
おそらく父親は見ているのだろう。
父親は一体どんな反応をするだろうか…。
それにしても、
父親が知りすぎているのに
語り手が気づいていないのも怖い…。
知られているのが当たり前、
みたいな環境で育ったのだろうか?