俺の町では最近、
奇妙なピエロがいることで有名だ。
そのピエロは大玉に乗り、
ジャグリングをしつつ陽気に鼻歌を歌いながら
見物人達を見るなり、いきなり二言喋り、
その人が考えてる事や思ってる事を
ずばり言い当てるのだという。
俺の学校でも当然話題となり、
友人たちに誘われピエロがいる公園へ向かうこととなった。
案の定大混雑しており、
やっと俺たちの番が来たころには日が沈み始めていた。
ピエロは風評通り、大玉に乗り、
ジャグリングをしながら友人たちを見ている。
「テスト♪不安♪」
「甘味♪食べたい♪」
「終わったら♪買い物♪」
「門限♪危ない♪」
友人たちは大はしゃぎしている。
ピエロは俺を見る、
にこやかな笑顔で言った。
「父親の♪料理♪」
楽しみにしてるから当てられるのも無理ないな。
【解説】
語り手が楽しみにしていたのは
「父親が作った料理」
ではなく、
「父親を材料とした料理」
もしくは
「父親をこれからどう料理するか(殺すか)」
ということ。
ピエロがどこまで理解しているのかは知らないが、
『ピエロは俺を見る、
にこやかな笑顔で言った』
語り手が父親に対して「料理」と考えたことに
にこやかな笑顔を作ったのであれば
このピエロもちょっと危険な気がする。
…ピエロのあの顔自体がホラーですけどね…
あの顔怖い…