結婚式の前夜、帰宅すると留守電が10件も入っていた。
「お前を絶対許さない」
「目立つなチビカス!」
「デブひろw」
「飛べない豚はただの豚ひろ~」
「浮かれてんじゃねえよハゲ!」
「人並みに痩せろ!」
「ろくでなし」
「式の前に殺してやる」
「くっさー死ね!」
「ん~、チビのくせに結婚?」
内容はすべて誹謗中傷で、
しかも音声が加工されていたため誰だか分からなかった。
思い当たる節をあれこれ考えていると、突然、電話が鳴った。
A「お~い博志、ビビってるか?」
B「ごめん博志君。許して~」
C「暗号だよ暗号。ひろクン」
A「台本書いたのはCだからな。恨むならCだぞ(笑)」
ふざけやがって、あいつら…分かりづらいわ、こんなもん!
明日、式場で会ったら全員しっぺだな。
【解説】
一文字目を縦読みすると、
「おめでとうひろしくん」
となる。
『A「台本書いたのはCだからな」』
とあることから台本を書いたのはC。
しかし、Cは、
『C「暗号だよ暗号。ひろクン」』
のように、「ひろしクン」ではなく、
「ひろクン」と呼んでいる。
なので、Cの台本通りなら、
「おめでとうひろくん」
になっていたはずである。
では、あぶれものはどのような言葉かというと、
『式の前に殺してやる』
というぶっそうな言葉である。
これは殺人予告であり、
『A「台本書いたのはCだからな。恨むならCだぞ(笑)」』
と言っていることから、
Aが式前に博志を殺し、
留守電の台本を作ったCが疑われる、
というシナリオなのだろう。