ある村で暮らしていた少女が
同じ村の女の子たちに陥れられて「悪魔の住む森」に
連れて行かれて置き去りにされた。
案の定悪魔に見つかり生贄にされそうになったが
少女はこう言い出した。
「どうせ死ぬなら綺麗なドレスを着てみたいです」
ドレスを着せると
「これに見合った指輪がほしいです」
次は
「ネックレスもほしいです」
次は
「指輪」
「ドレスに合った靴」
「ブレスレット」
「顔を洗う水桶」
「髪をとかす櫛」
と一つずつ要求していく間に夜が明けてしまい悪魔は
悔しそうに消えてしまった。
妹を心配して探していた兄が
妹を見つけて無事に再会したがあまりの姿に
驚きを隠せなかった。
それは村の娘たちも一緒で
「どうやって手に入れた!?」
と聞いてきたが
「これを譲るから売ればいい」
と少女が言ったにもかかわらず
森に全員で行ってしまった。
兄妹は心配でたまらなかった。
特に妹はこう思っていた
「皆、せっかちだから・・・・」
案の定娘たちは戻ってこなかった。
【解説】
少女は要求を小出しにして時間稼ぎをしていたため、
生贄にされる前に夜が明け、
難を逃れることができた。
しかし、娘達は
『皆、せっかちだから・・・・』
という言葉があるように、
欲しい物を一気に言って夜明けを迎えられず
生贄にされてしまったのだろう。
日本昔話に出てきそうな話である。
しかし・・・
『夜が明けてしまい悪魔は悔しそうに消えてしまった』
とあることから、
同じように要求されたとしても、
「そんなの知るか!!」
と、すぐに生贄にするんじゃないだろうか…。
相手の要求に応えてあげるとか、
なんかちょっと抜けてる悪魔なのかなと思ってしまう。
生贄にしようとするくらいだから、
少女としてはものすごく怖い体験なんだろうが…
「要求は応えたからそろそろいい…よね?え?まだあるの??」
とか言いながら要求に応え続ける悪魔を想像すると
憎めない…というか、むしろ可愛いとさえ思えてしまう。