はぁ。気が滅入る。
急な坂が多いのよねこの辺。
帰りにこの坂を次女を乗せたベビーカー押して長女背負って登らなきゃいけないと思うと・・・
あぁ、また次女がぐずりだした。
アカネもうお姉ちゃんなんだからそのおもちゃアオイちゃんに貸したげなさい。
なにギューっと握ってんの。
離しなさい。
もう、独占欲の強い子なんだから。
痛い、痛い。
なによ。
髪の毛引っ張って。
無理矢理取り上げるわよ!
痛っ!なんて力なの。
やめなさい!
赤ん坊とは思えないつよい力で髪を引っ張られてあまりの痛さに両手でアカネの手をふりほどいた。
アオイの鳴き声が遠ざかっていった。
【解説】
「アオイの鳴き声が遠ざかっていった」から分かるように、ベビーカーは坂道を下って行ってしまった。
ベビーカーの行き着く先はいったいどこだろう?
下の子ができると、親は上の子よりも下の子を可愛がりがちである。
上の子としては当然面白くない。
だからといって、髪の毛を引っ張られては堪ったものではないが……。