久しぶりに実家に帰ると、
亡くなった母を思い出す。
母は認知症だった。
身の回りの世話をつきっきりでしていた父を
困らせてばかりいた姿が目に浮かぶ。
そして今は亡き母の書斎に入った時、
私は初めて違和感を覚えた。
母にプレゼントしたカレンダーが見つからない。
何の気無しにテーブルを漁ると、
ハサミでバラバラにされた幾つかのカレンダーの切れ端が
順序良く並んでいる事に気が付いた。
母はどんなに呆けていても、
私のプレゼントは大切にしてくれていたのにと…
私はショックを受けた。
私は感傷とともに並べられた日付を整理した。
4/44/44/106/113/16/125/67/26/76/174/104/145/16
私は一枚だけ向きが逆になっている6/17に気づき、
他の日付と同じ向きに変えていると、一階の父が私を呼んだ。
今日から五年振りの父の手料理が食べられる。
感傷を胸に押し込み、私は母の書斎を後にした。
【解説】
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