僕には愛猫がいる。
黒猫。
こいつが可愛いやつで大のイタズラ好き。
外に出たいが為に
勝手に窓をこじ開けてて出て行ったかと思うと
ネズミなんかを家に持ち帰っては散らかす。
餌を与え忘れた時なんか
自分で冷蔵庫を開いて中身を食べていたのを見た時は
たまげたもんだ。
それが変な癖になって、
よく冷蔵庫を開けるようになった。
とんでもない困ったちゃんで
いつも驚かされている。
まあ、男の1人暮らし。
冷凍庫は空で、
冷蔵庫にもあまり食べ物は入っていないけどね。
でもある日、
こいつはいなくなった。
僕を1人残して
どこかへ行ってしまったんだ。
僕は想いをずるずると引きずったまま
粗大ゴミの収集作業の仕事に出掛け、手につかず
悲しみに暮れる。
思い切って気分転換に新しい冷蔵庫なんて買ってみた。
あいつがしょっちゅう荒らした冷蔵庫を自分の手で処理する事で、
少しは気が晴れると思ったから。
思い出処分ってとこ。
夜な夜な職場に運び、
思い出の冷蔵庫を下ろす。
いつも空のはずの冷凍庫を開くと
中身が入っていた。
【解説】
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