俺は仕事を終えて
アパートの自室に帰宅した。
荷物をなげすてて
窓の方に駆け寄ると、
今日もあの子が空を見上げていた。
満天の星空を――――
あの子は向かいのアパートに住む高校二年生だ。
優しくて、明るくて、
そして何より、
星を見るのが大好きだった。
いつの頃からか俺は彼女の事が気になりだし、
いつの間にか彼女と星を見るのが日課になっていた。
ところが最近、
彼女は俺を見てくれない。
いつもなら俺に気づくと、
にっこり笑って手をふるのだ。
寂しくてしかたがないが、
彼女と会えない訳じゃない。
そして実際今日も、
彼女は空を見上げている。
ずっとずっと。
ずっとずっと。
【解説】
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