ある学者が、何を思ったのかパブロフの犬を見て、犬を人間に変えて同じ実験をしようとした。
適当に募集し、それなりの報酬で被験者を手に入れた学者は、早速実験を開始した。
鈴を鳴らし、餌をやる。
その繰り返しを一ヶ月。
下準備は完璧だった。
ある日、学者は実験の成果を確かめようと餌を持たずに、鈴だけを持って被験者の部屋に入った。
鈴を鳴らす。
餌は無い。
鈴が鳴った。
餌が無い。
鈴が鳴っている。
餌はある。
鈴を鳴らしている。
餌は、
そして、実験は失敗に終わった。
【解説】
鈴が鳴った。
餌が無い。
この時点では特に問題はない。
鈴が鳴っている。
餌はある。
『餌=学者』
鈴を鳴らしている。
餌は、
『(被験者)が鈴を鳴らし学者は(被験者)に食べられてしまった』
※パブロフの犬とは?
犬にエサを与えるときに必ずベルを鳴らすようにしたところ、
エサが無くてもベルを鳴らすと犬がよだれをたらしたことから、
条件反射の喩えとして用いられる。
今回のお話としては『餌があった』から食べただけ。
被験者自身が鈴を鳴らしたのであれば、
いつでもどこでも何でもその鈴を鳴らして
『餌とさえ認識できれば』食べ始めることとなる。
その餌が何かも想像はできないが…。