ここはどこ?
僕はこのよく分からない場所にどじこめられてから、
もう10ヶ月くらいになる。
ここはとにかく暗い。
外から人の声は聞こえる。
だから僕は
いつもその部屋の壁を何度も何度も叩くけど、
誰も助けてくれない。
しかも僕は、
一度もご飯をもらった事がない。
このまま死んでしまうのかな…
でも違った。
僕がついに部屋から出れる事になったんだ。
何やら外が騒がしい。
泣いている人までいるよ。
そりゃそうか。
こんなの大事件だよ。
僕はやっと外に出られた喜びと感激で、
思わず泣きじゃくってしまった。
【解説】
語り手は胎児。
泣いていた人は
父親や親戚。
語り手が最後に泣きじゃくったのは産声。
産まれてくるまでの記憶がある赤ちゃんがいる、
とかなんとかそんな話がどこかにあったような?
そういう類の話なのだろう。
おそらく、
産まれてきたことで
記憶から消去されるのだろうが。
もし、産まれてくるまでの記憶がある人がいたら
どんな感じなのか聞いてみたい。