「おねーちゃんっ」
うるさい。耳障り。
「おねーちゃんったらあ」
なによかわいこぶって。
私の妹がよくわからない病気で入院してから3ヵ月になる。
お母さんはずっと妹のことを心配して可愛がる。
私がわがままをいうと怒るのに
妹が言っても怒んない。
そして妹のいないとこで一人泣く。
それだけじゃない。
妹は私からお母さんを取り上げる。
この間小学に入って4回目の運動会があった。
小学校の友達はお母さんが来てるのに
私のお母さんは来なかった。
妹の検査とかぶったから。
大した病気じゃないのに。
妹になりたい。妹になりたい。妹になりたい。妹になりたい………
『じゃあ変わりに……んで。』
耳元で妹の声が聞こえたけど途中聞こえなかった。
その後私の虚ろな目に映ったのは
私に必死で呼びかけるお母さんの涙…
その後ろで笑う私が目に映って…
途切れた。
【解説】
語り手は妹と入れ替わり、
妹の代わりに死んでしまった。
病気の妹にお母さんを取られてしまう。
仕方のないこととはいえ、
小さい頃だとなかなか割り切れることではないこと。
語り手は本当につらかっただろうなぁ…