うちは両親が動物大好きで
犬と猫を飼ってる。
ぶっちゃけ俺はそこまで動物好きじゃないんだけど…
まぁそれなりに可愛いな、とは思う。
だって全然なついてくれないんだよ。
猫は確かに
ふわふわしててかわいいけど
きまぐれ!
親には多少なついてるが
俺にはうん、とも
にゃー、とも言わない。
犬は犬で散歩が大変!
しかもにおう!
まぁどちらかといえば
犬の方が感情分かりやすくていいかな。
尻尾ふるしな。
…と
そんな俺に試練が訪れた。
両親揃って旅行にいくらしい。
ペット可のホテルだから安心してたんだけど
猫連れの旅行は色々大変ってことで
旅行中の2泊3日間
俺が猫の面倒見なきゃいけなくなった。
朝夕の餌やりに水替え
トイレの掃除。
加えて1日1回以上は遊んでやれという。
親は毎日朝5時起床で昼間仕事だからいい。
俺は週に3~5回、
18時~23時にコンビニでアルバイトしてて
帰宅後は眠くなるまで
魔王を倒して世界を救う冒険に出てる。
朝起きるのも10時がせいぜいだ。
そんなフリーターに
朝夕の餌やりが務まるだろうか…
俺は鬱になった。
昼前に両親出発。
俺はバイトまで自宅警備。
猫は日向ぼっこ。
17時頃、
バイト行く前にトイレ掃除と餌やり。
いつもと違う雰囲気にきょとーんとしながら
食ってる姿を見届けて外出。
そして日付が変わる前に帰宅すると、なんと!
玄関でちょこーんと俺の帰りを待ってやがった!
…かわいい。
それから風呂に入って出てくると
風呂近くのトイレ前で
びろーんと伸びてた。
…かわいいかわいい。
いつも通り世界を救う旅に出ると、
遊んでほしいのか
こっちを見て「にゃーにゃー」鳴く。
かわいすぎるだろ!
はげるわっ!
俺は猫じゃらしを片手で動かしながら夜中まで冒険して、
猫の朝食のために目覚ましセットして
ベッドで、猫はベッドの下で寝た。
翌朝なんとなくくすぐったい感触で目が覚めた。
見ると猫が甘えた感じで
俺の手にふわふわの小さな頭をこすり付けていた。
はげた。
目覚ましがなるまで飽きることなく
ふわふわボディをなでなでして
朝食をやった。
そのあとはしらーん顔で寝てたし
なでてもうざそうにしてたが
そこがまた高貴でたまらんかわいい。
水もトイレもきっちり世話して
昨日と同じように過ごした。
親から心配の電話があったが
俺がにゃんこにメロメロになってて
安心したみたいだった。
翌日の昼頃、
今から帰ると連絡があった。
バイト行くまでに帰ってくるか、
すれ違いになるだろう。
すっかり仲良くなったにゃんこに夕飯をやって
家を出ると、遠目に見慣れた黒のセダンが見えた。
これで安心だ。
バイトが少し遅くなり
深夜1時前に帰宅すると
にゃんこがまたお出迎えに来た!
両親の寝室をちらっと覗くと
2人と1匹は長旅で疲れたのか
ぐっすり眠っていた。
俺も連日のように冒険しながらにゃんこと遊び
4時頃眠りについた。
翌朝。
暑さとにゃーにゃー声で目が覚めた。
見るとにゃんこが愛らしい顔をして
ベッドに乗って鳴いている。
この数日ですっかりなついてくれたらしい。
本当にかわいすぎてたまらない\(^^)/
俺はその小さな頭をなでた。
【解説】
猫が語り手を玄関で待っていたのは
物音に警戒して見に来たためであり、
朝のスリスリも
ご飯が欲しかっただけ。
遊んでくれるのも
ご飯をくれるのも
語り手しかいないので
語り手につきまとっているだけであり、
ご飯を食べて遊びたくもなく満足したら
しらーん顔。
数日で懐いてくれたと
語り手は思っているが、
実はそうでもなかったという、
本来はそんなお話…なのだが…
語り手がバイトから帰ってきた時
両親はぐっすり眠っていた。
語り手が起きたときは
暑いとのことなので、
すでに日が高くなった時間なのだろう。
語り手が起きる時間は10時頃なので、
そのくらいの時間。
10時頃にも関わらず、
猫がにゃーにゃー鳴いて
ご飯の催促に来ている。
両親は毎朝5時に起きているはずだし、
懐いているのは両親に対して。
なのに
猫はご飯を食べておらず、
語り手に催促に来た。
ということは…
両親がぐっすり眠っていたその時に
実は両親はすでに死んでいた。
なぜ死んでしまったのかはわからないが…
語り手はこれから
喜びながら猫にご飯をあげ、
両親の異変に気づき…
そこからどうなることやら…