ある小さな個室に男が二人いた。
一人はナイフを持って立っていた。
そしてもう一人は膝をついて涙を流していた。
すると膝をついた男が言った。
「やめてくれ…!私には妻が…!
私の帰りを待つ妻がいるんだ…!」
しかし男は言った。
「悪いがその妻からの依頼だ。
それに、もう誰もあんたの帰りを待ってはいないよ」
そう言って男は、もう一人の男を始末した。
男は言った。
「今日も一丁あがりだな…
さて証拠となるものを消そう」
男は証拠となりそうなものを消していった。
消せないものは用意していたバックに詰めていった。
「これでよし、あとは帰るだけだな」
男は個室を出ようしたが、立ち止まった。
「いや…まだ証拠が残っているな」
男はニヤリと笑った。
「そう…」
「お前だよ…!」
そう言うと男は何処かへと向かって行った…
【解説】
男は殺し屋で、証拠を一切残さない。
凶器でも目撃者でも
全てを跡形もなく消し去ってしまう。
なので、最後の証拠は
この犯行現場を見た(読んだ)
「あなた」ということになる。
ちなみに妻はすでに死んでしまっている。
妻は夫の殺害を依頼した依頼者であり、
男の正体を知っている。
そのため、証拠となってしまうため、
証拠を一切残さない男は、
夫を殺す前に証拠隠滅を行った。