【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】切り離された世界

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いつから此処にいるのか。
そもそも此処は何処なのか。

 

見渡す限りの、
何もない、
白いだけの
空間。

 

気がつくと此処にいたのだ。

 

出口や、人を求めて歩いてみても、
まるで進んでいる気配がなく、
歩いている感覚すら疑わしい。

 

大声で叫んでみても、
声は響くことなく飲み込まれ、
自分が声を出した確信が揺らいだ。

 

立って歩いているのだから、
地面があるのだろうと思って触ろうとしても
そもそもの上下が曖昧になり、

 

自分の存在を確かめるために身体に触れても
何も感じられずに不安が募るだけだった。

 

それでも、
恐らくだが定期的に
(何せ時計どころか昼夜すらないのだ)
束の間の温もりに包まれた。

 

まず、全身が包まれ、
頬や額、掌や腕などに、
いとおしいと思える人肌を感じた。

 

だが、それも突然壊れた。

 

雫の感覚を頬に、
震える温もりを唇に感じたかと思うと、
世界は暗転した。

 

何もないのは同じ。


しかしそれが白から黒に変わっただけで…

 

『なんなんだよ!?なんなんだよ!?なんなんだ!?』

 

叫びながらがむしゃらに走っても、
黒は黒のまま、
白には戻らなかった。

 

******

 

「自分を責めては駄目ですよ、奥さん」


生命維持装置を停めた医師の言葉に若い女性が泣きながら、
無言で頷いた。

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

語り手である旦那さんは植物状態で、

生命維持装置を停止したから黒の世界へ、

つまり語り手は死んでしまったが、

そのことに気づけていない。

 

 

植物状態になると

実際世界をどう見るのか。

 

少し気になるところである。