私の自慢はこの金色に輝くツヤのある長い髪。
子供の頃からのばし続けていて、
一回も切ったことないの。
一人暮らしをはじめてしばらくたったある時、
こんなことがあった。
私「ねえ、今朝起きたら、
すっごくゾッとするもの見ちゃった」
友「え? なになに?」
私「洗面台にね、いつも櫛を置いてあるの」
友「うん」
私「今日ちらっと目に入ったら、
長い髪の毛がびっしり絡まってるの。
もう気持ち悪くて洗面所飛び出しちゃった」
友「あはは、髪の毛だらけの櫛ってそうだよね。
でもそれだけ髪の毛長かったら、仕方ないんじゃない?
ブラッシングもいっぱいするだろうしね」
友達は軽く笑って流した。
せっかく笑ってるんだもん、言わない方がいいかしら。
私の櫛にびっしりと、「黒髪」が絡まっていたことを。
【解説】
語り手の髪の色は「金色」。
にも関わらず、
櫛に絡まっていた髪は「黒色」。
果たしてこの黒色の髪は
誰のものだったのだったのだろうか…