それはある日のことだった。
「ねえ知ってる?
町外れの廃墟のビル自殺とか死体遺棄とかあって
マジ怖いよ、行ってみようよ」
と誘う友人を横に
私は少し寒気を感じていた。
その廃墟に行く事になった彼女は
少し大袈裟にもやや大きめのカバンを持っていた。
ビルの前に着いた。
「ねえやばくないやめようよ」
「大丈夫だって少しだけ」
という会話があったものの中に入り
何階かに上がったところで怖くなった私は
出ようと思い彼女の肩に手を置いた。
「キャーーーーッ!!」
「なにどうしたの!?」
「手がーー!!!」
そう叫んだ彼女は走ってビルをでた。
だが私はそこから動く事ができなかった。
外にでた彼女の腕にはカバンはなかった。
数日後そのビルからはまた死体が見つかった…
そして彼女の消息は誰も知らない。
【解説】
彼女が話している相手は
語り手ではなく、実は別の人。
語り手はすでに死んでいて、
彼女がそれを遺棄しにビルに行った。
彼女はすでに死んでいるはずの語り手が
肩に手を置いてきたので悲鳴をあげた。
ビルから出てきた死体は
彼女が持ってきた語り手の死体だろう。
彼女の消息がわからないのは、
彼女によって殺されたと理解した語り手が
彼女に復讐したのかもしれない…