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「あっちむいて、ホイ!」
「またたっくんの負けー!」
キャハハハ
「じゃあ今日はこれのんでよ!」
私はトイレの流し忘れの水をたつやに渡した。
まわりの女の子は口を大きく開けてゲラゲラと笑っている。
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こんな夢を見た。
高校生の頃の夢だった。
ある一人の男子生徒を苛めていた。
名前はたつや。
陰キャで気に食わなくて、
ただそれだけで苛めた。
今の夢の中の苛めはよくしたやつだ。
じゃんけんは無し。
私があっちむいてホイをする。
指差した方向にたつやが向いたらたつやの負け。
向かなかったらもう一度。
そんな苛め。
たつやは初めはやりたがらなかったが、
刃物を突き付けたりしたらやり始めた。
もう、高校を卒業して10年か。
あいつ、生きてんのかな。
死んでたりして(笑)
ま、どうでもいいや。
仕事に行かなきゃ。
私は地元で就職。
2年前職場で今の旦那と出会い、結婚。
まだ子供はいない。
幸せの絶頂だった。
旦那にはもちろん、
高校で苛めをしていたことなど内緒だ。
今日で1年記念日。
早く夕方にならないかな?
なんて思いながら仕事をした。
いつも通りに仕事をこなしていたら、
もう夕方になっていた。
ガチャ
「ただいまー」
私は勢いよく家のドアを開けた。
するといきなり後ろから手足を縛られ、
布で目隠しされた。
「みゆ、みゆ」
私の名前を呼ぶ旦那の声が聞こえた。
「あなた、これは何かのどっきり?」
と私は聞いた。
すると、
「みゆ、今日はなんの日か分かる?」
私はわざと知らないフリをした。
「もーみゆったら酷いな!」
と言いつつ、
目隠しを外してくれた。
目の前にはまんべんの笑みを浮かべた旦那が居た。
「みゆ、あっちむいて、ホイ!しようか」
【解説】
旦那が「たっくん」だった。
そのことに語り手が気づいていないということは
整形したり、戸籍をバレないように変えたりしたのだろう。
1周年で過去のいじめを掘り返すということは
この日は旦那にとって
最も屈辱的な日だったりしたのだろうか。
それこそ、
最初に出てきた夢の出来事が
最も屈辱的な出来事だったのかもしれない。
語り手はこれから
同じようなことをされるのだろうか…?
それにしても、
いじめている相手を『たっくん』呼び。
元々仲が良かったりしたのだろうか?
なんだかそこが気になってしまっ