僕は風邪を引いた。
僕はとりあえず寝ようと思った。
その前に朝いたはずの母がいないので
カレンダーを見た。
カレンダーには
家族一人一人のその日の日程が書かれている。
家族といっても、
僕は一人っ子の母子家庭だ。
家族という家族は母だけ。
貧相な生活をおくっていた。
とりあえず、母の日程を確認した。
僕「買い物した後、一緒にお出かけか」
母と初めてのお出かけ。
どこへ行くのか楽しみだった。
だから、早く風邪を治したくて僕は寝た。
母「もう大丈夫だよ。熱も下がったし、じきに楽になるからね!」
母の声が聞こえてきた。
寝起きだからか、霞んでよく母が見えない。
僕「一緒に出かけようね!」
母「そうね、行きましょう。
早くしないと先行っちゃうからねぇ~(笑」
気づけば僕は寝ていた。
バサッ!
母「おはよう」
【解説】
語り手は母によって殺された。
母が話しかけていた時点で
語り手はすでに死ぬ寸前だった。
熱が下がったのは死にかけていたから。
霞んでいたのも死にかけだったから。
気づけば寝ていた=このときに死んでしまった。
母の日程は
買い物=殺すものを買いに行く
一緒にお出かけ=子供と一緒に死ぬ。
「先行っちゃうからね」という母の言葉は
先にあの世にいっちゃうよ、という意味。
『バサッ!』は
母と出かけたくて子供が急いで起きた音。
子供は死んだことに気づかずに
あの世で母とお出かけをした。
死んだことに気づかず、
母とお出かけできたのであれば
死んでしまったとはいえ、幸せなのかもしれない。