「****」
『*****』
僕が吐く四文字と
君が吐く五文字。
似ているようでどこか違う。
白い空間で
君はビニールのような何かの向こうで
薄く目を開けて笑う。
僕はいつもの様に吐く。
「好きだよ」
『好きでした』
残酷なのは僕の方なんだ。
【解説】
『君』は病院にいて寿命が近い。
語り手はそんな『君』が好きで、
『君』は語り手が好きだった。
『君』はもうすぐ死んでしまうために
語り手に過去形で『好きでした』と言った。
意味がわかると悲しく切ない話。