雪が降ると好きなことは、
まだ誰も足跡をつけていないところに、
一番最初に足跡をつけて歩くこと。
こんなに厚くつもってるから、
膝から下が雪に埋もれて見えない。
あ、あそこはまだ誰も歩いていないみたい。
あそこに足跡つけよう。
サクサク サクサク サクサク…
うわっ!
ドテッ
あーあ、やっぱり雪に慣れてないから転んじゃった。
あっ、膝に血がついてる。
思ったより深く擦りむいたのかなあ。
寒さで痛みを感じなかったのかも。
せっかくの白い雪、汚しちゃった。
早く帰って傷の手当てしよう。
そして家に帰ってズボンを脱いだ時が一番寒かった。
【解説】
膝についた血は
語り手のものではなかった。
雪が降り積もり前に殺され、
血が流れていた死体(もしくは血がついた雪)に触れ、
膝に血がついてしまった。
語り手は
ケガをしていなかったため、
なぜ膝に血がついたかを理解し、
背筋がゾッとして寒くなった。
語り手はこのあと確認して、
通報したりしたのだろうか?
きちんと確認するのもゾッとするが、
だからといって知らんぷりするのもつらいものがある。
その状況もまた恐ろしい…。