【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】演技

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「ふざけてんじゃないわよ!!」

 

パァンと小気味良い音とともに
平手が男の頬に炸裂する。

 

「あたしはあんたのためを思ってたのに……」

 

女の瞳に涙が浮かんだ。

 

「わ……悪かった…」

 

「はいカットー。殺すシーンはまた明日ね」

 

監督の声が場に響き渡り、
一気に空気が緩んだ。

 

「監督、どうでした?」

 

男が監督の元に駆け寄る。

 

「んーまあ良かったんじゃない。
特に祐奈さんの演技は格別。
素晴らしかったよ」

 

ペコリと女――祐奈が頭を下げる。

 

「ところでさ、浮気は止めなよ」

 

声をひそめた監督に、
男――圭は苦笑した。

 

「大丈夫です」

 

「君がいいんだったら別にいいけどさ。
…でも不安なんだよ。
せっかくの彼女なんだから、祐奈さんは大事にね。
…いつか刺されても知らないよ」

 

「はい、ありがとうございます。気を付けます」

 

ばれるわけがない、と圭は心の中で呟いた。

 

監督と何だかんだ色々話して圭は家に帰った。

 

次の日。

 

「じゃあラストシーン。
圭君が祐奈さんにナイフで刺されるシーンね」

 

その言葉とともに演技が始まる。

 

「もう……あなたを許さないわ…。
あなたはもう……死んで!!」

 

言葉とともに、
ナイフを彼の左胸に突き刺す。

 

「な……なん…で……」

 

血を吐き、圭は事切れた。

 


「だから忠告したのに……」

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

演技ではなく、

圭は実際に刺されてしまった。

 

祐奈の演技が格別だったのは

演技ではなく、

実際の心情だったから。

 

 

刺された後の監督があまりに冷静なので

この撮影自体が圭と祐奈に関係したものだったのではないか、

なんて思ってしまう。

 

圭と祐奈の関係を戻そうと思いつつも、

関係を戻せなかったらそのまま刺してしまえ、と。

 

そういう仕組まれた撮影だったら怖いなぁ

とか思ってしまう。