僕のお爺ちゃんは嘘つきだ。
「上から人が降ってくるぞ!」
大声でこんなことを言うから最初は信じてしまっていた。
けれど聞いてくうちに、徐々に慣れてきた。
ある日お爺ちゃんと横断歩道を渡っていると
お爺ちゃんが言った。
「右から車来るぞ!」
また嘘か……!?
お爺ちゃん嘘はいけないよ…
【解説】
『右から車来るぞ!』
は確かに嘘だったけど、
車が来なかったわけではなく、
左から車が来た。
それに対応できず語り手は…。
このお爺ちゃん、嘘をつかないと生きていけないのだろうか?
咄嗟のことでも嘘をついているみたいだし、
もう嘘をつくことが体に染み渡っているのだろう…。
そんな嘘をつく体質で
どのように生きてきたのかが気になってしまう。