うちの学校に、
ハーフの女の子が転向してきた。
なんか、さすがというか、
ビックリするくらい可愛い。
でも、すごい静かで、全然喋らない。
けど、あれだけかわいきゃ男子がほっとくわけない。
もうあからさまチヤホヤされちゃって…。
それでも、
「あー…」とか、「んー…」とか。
可愛くてもあれじゃあ…と、
思いきや男子は、
それすらも可愛いとか言い始めてる。
困った顔とか、
はにかむのが良いんだと。
女子のみんなは、
最初は仲良くなろうとしてたけど、全然喋んないし、
「ハーフってだけで、
チヤホヤされて良い気になってる」
とか始まって、
だんだんイジメるようになった。
男子も最初は興味深々で話しかけてたけど、
まあ喋らないしね…飽きるのも早かった。
そんなんしてるうちに、
どんどんどんどんイジメはエスカレートして、
本格的なものに。
「可愛いからって調子のんな!」
「無口キャラとかなにそれ」
「ハニカミ王子…姫か?」
それでも、何も言わず、困った顔の少女。
それも、気に食わない女子たち。
「天然なんじゃないの?」
「気づいてねーんだよ。
もっとやってやろうよ!」
とうとう、言葉の暴力から、
本当に暴力振るうようになった。
さすがに、抵抗する少女。
でも、文句は言わず、
何か言いたそうな顔をして俯く。
これに喜んだ女子達。
それから数週間そんなイジメが続いた。
ある日、
そのハーフの少女が学校の屋上に立った。
自殺しようとしてる。
煽り立てる女子達。
ソワソワする男子達。
そして、
少女は涙ぐみながら口を開いた。
最初で最後の言葉だった。
「I can't…speak…japanese…」
【解説】
ハーフの女の子は
日本人と外国人のハーフではあるものの、
日本に住んでおらず、
家庭でも日本語を使われていなかったのか、
日本語を話せなかった。
「ハーフなら日本語を話せる」
と思ってしまいがちだけど、
実はそうでもないということ。
その結果、
話さない=日本語がわからないとは気付かず、
いじめた結果、ハーフの女の子は…。
そもそもいじめ自体怖いのに、
言葉がわからない人達からいじめを受けるとか
どれほどの恐怖なのだろうか…。