私はいつも仲の良い4人で行動していた。
つい最近までは5人だったのだが…
「ねぇ、加奈子の話聞いた?」
「聞いた聞いた!桜子でしょ!?」
つい最近までは5人だったというのは、
その中の1人の桜子が死んだからだ。
私達は、乗り気じゃない桜子をノリで無理矢理誘い、
遊びに行こうとした途中に事故にあい、
不運にも桜子だけが死ぬという結果になってしまった。
そして昨日、
加奈子の携帯に
その桜子からの着信があったらしいのだ。
「実は…私も昨日、
知らないうちに着信ありになってて、
履歴を見たら…桜子だったの」
「ありえないって!死んだんだよ!?」
次の日も桜子からの着信は続いた。
ただ、共通してるのは
誰も電話に出ていないということ。
気付いたら着信があることだった。
桜子から電話が来てないのは私だけだ。
今日、絶対に来る…。
無理矢理誘い出したのは私。
そのせいで死んだと思っているなら、
きっと私を一番怨んでいるはず。
「私…今から携帯の電源切るね…」
そう言って私は家に向かった。
買い物をして帰った私は、
片手に買い物袋、片手にバッグだったので
部屋の電気を点けられずにとりあえずソファーに向かい、
荷物を降ろした。
すると、暗闇に点滅する光が目に入った。
自宅用の固定電話にメッセージが入っていることを示していた。
(まさか…桜子!?)
恐る恐る再生ボタンを押す。
"ピーッ一件です。……ツーッツーッ…ピーッ。"
『アナタヲ…ユルサナイ…』
「いやぁぁぁああ!!!!!!!!」
全てを理解した私は、
玄関のドアが物凄く遠く感じた。
【解説】
『ピーッ一件です。……ツーッツーッ…ピーッ』
これでもう留守電は切れているはず。
つまり、
『アナタヲ…ユルサナイ…』
は桜子がその場にいたことになる。
玄関のドアがものすごく遠く感じたのは、
語り手が死を悟ったから。
もう生きては出られない…。