私には付き合って四年目になる彼氏がいました。
彼とは凄く仲が良く、
彼の両親にもよくして貰っていました。
とても優しい彼氏でした。
周りから見れば羨ましがられるほどで、
何の不満もなく月日は流れていきました。
そんな私達にも一つだけ決まり事がありました。
それはお互いのプライバシーだけは絶対に守ろうという事でした。
お互いのプライバシーを守るため、
私達はお互いに携帯にロックをかけて、
メールは見れないようにしていました。
その事をいい事にある日私は浮気をしてしまい、
彼氏には黙っていたのですが、
罪悪感に耐え切れなくなり、
本当の事を彼に話しました。
彼は本当にショックを受けたみたいでした。
そして彼は私に言いました。
「浮気の一度や二度ぐらい許してあげたい。
でも俺はさっきから…お前を殺すか、自分が死ぬか…
そんな事しか頭に浮かばない。
だから、もう会わない方がいい」
そして私達は別れる事にしました。
それから数ヶ月経ったある日…
別れたはずの彼から突然メールが届いたのです。
「〇〇(彼氏)の母です。
実は…○○が自殺しました。
あの子は死ぬ直前、
あなたの名前を呼びながら死んでいった。
明日はお葬式があります。
最後に一度だけでもあなたの顔を見せてあげてほしいの。
場所は…」
それは彼の母親が彼の携帯を使って送ってきたメールだった。
何という事だろうか。
私の責任だ。
私が浮気さえしなければ…
私の頭には彼が別れ際に言った台詞が浮かんできた。
「お前を殺すか、自分が死ぬか…そんな事しか頭に浮かばない」
彼は自分が死ぬ方を選んでしまったんだ。
私は今お葬式の会場に向かっている。
最後に一度だけ顔を見せてあげよう。
それが今私にできる唯一の償いだと思う。
【解説】
彼氏は携帯をロックしていたにも関わらず、
母親がメールをしてきている。
母親はどうやってロックを解除したのか?
これは実は母親からのメールではなく、
彼氏本人からのメールである。
『もう会わない方がいい』
と言っていたのに、
なぜ母親のふりをしてまで呼び出したのか?
『お前を殺すか、自分が死ぬか…そんな事しか頭に浮かばない』
このように言って彼氏が選んだのは自分が死ぬことだと思わせておいて、
本当は彼女を殺すことが目的だった。
つまり、彼氏はこのメールで彼女に死んだと思わせておいて
彼女が来たところで殺すことを企んでいる。
数ヶ月という時間が経ってからこんなことを行うなんて…
恨みというのは恐ろしいものである…