「今回ダメだったら…」
男は狭い箱の中でため息をついた。
2…3…4…5………10
扉が開く。
「おはようございます。
面接に伺いました○○です」
男は受け付けの女性に挨拶をし、
別の部屋へと通される。
面接官に促され椅子へ座った。
「○○です。宜しくお願いします」
「宜しくお願いします。
○○さん、履歴書拝見いたしました。
えー、それで特技に鳥のマネとあるんですが…」
「はい。特技は鳥のマネです」
「うーん…。
他に何か得意な事とかありませんか。
例えばパソコンとか…」
「いえ。特にこれといって…」
「そうですか…。
○○さん、申し訳ないんですがねぇ…。
鳥のマネが出来てもウチじゃ役にたたないんですよ。
今回はご縁がなかったということで」
男は一呼吸おいて答えた。
「はい…そうですか。
貴重なお時間をいただきありがとうございました。
最期に鳥のマネを…見ていただけませんか」
男はそういうと立ち上がりおもむろに窓を開けた。
【解説】
「最後に」
ではなく
『最期に』
と言っている。
つまり、
『窓を開けた』理由は、
『鳥のマネ』と称して
窓から飛び降り自殺をしようとしている。
本気ではなくて、
飛び降りると脅して内定をもらおうと考えているのだったら
恐ろしいなぁ…