【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】案山子

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冬入り少し前の夕暮れ時のこと、
僕は趣味のドライブで田んぼ道を走っている時に
奇妙な光景を見た。

 

刈り取りの終わった一つの水田に、
多数の案山子が並べられているのだ。

 

気になった僕は近くに車を停め、
その水田に向かった。

 

案山子の並ぶ水田の周りには、
農家の人と思しき姿の人が何人も集まっていた。

 

僕は近くにいた一人の男性に話し掛けた。

 

「すいません、コレは何ですか?」

 

「ああ、コレかい?
コレは案山子の供養みたいなもんさ」

 

そう言って男性が指差した先に、
お坊さんが見えた。

 

「毎年稲の刈り取りが終わった後に、
田んぼを守ってくれた案山子に感謝を込めて、
お炊き上げするのさ。
燃え残りの灰は肥料になるしなぁ」

 

「なるほど……」

 

見回してみると、
案山子の足元には新聞紙が丸められている。

 

あれに火を点けるのだろう。

 

「そろそろお炊き上げが始まるから、
お前さんも見ていくといい」

 

そう言って男性は
その場にあぐらをかいて座った。

 

程なくして、
お坊さんの手短な念仏の後に
お炊き上げが始まった。

 

それぞれの案山子に次々と火が灯っていく。

 

と、突然、
一つの案山子が急に左右へ揺れだし、
人語とは思えない呻き声を上げだした。

 

僕が口を開けて呆然とその様子を見ていると、
座っていた男性が言った。

 

「どうやらあの案山子、
霊が憑いてたみたいだなぁ。
人形なんかと同じで、
たまぁにこういう事があるんだよ」

 

男性が呑気にそんなことを話している間に、
お坊さんが揺れ動く案山子に近付き念仏を唱えていた。

 

やがて案山子は全身が火に包まれた辺りで、
動くのを止めた。

 

僕はホッとして、
ふと隣を見た。

 

男性がその案山子を見て笑っているように見えたのは、
気のせいだろうか。

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『一つの案山子が急に左右へ揺れだし、
人語とは思えない呻き声を上げだした』

これだけ案山子ではなく、

本物の人だった。

 

見た目は案山子の格好を

かぶせられていたのだろう。

 

今まで何も反応がなかったのは

眠らされていたからか?

 

『やがて案山子は全身が火に包まれた辺りで、
動くのを止めた』

案山子の中の人は

焼死して動かなくなってしまった。

 

『農家の人と思しき姿の人が何人も集まっていた』

何人か集まっているのに、

たまにあることとはいえ、

霊が憑いていたことに全員が全員呑気でいれるだろうか…?

 

おそらくこれは、

村ぐるみの犯行と思われる。

 

生贄のようなものなのか、

それとも村にとって都合の悪い人間なのか…

 

この事実に語り手が気づいてしまったら、

次の案山子は語り手になってしまうかもしれない…