『今日、学校でパパの似顔絵かいたんだ。』
『あら、上手に描けてるわねぇ。ねぇ、あなた。』
俺『ああ、本当によく描けてるよ。』
『あ、そーだ、ねぇあなた、明日ディ○ニーランド行きましょうよ。
ひろきも行きたいわよねー。』
『うん、○ッキーに会いたい!』
俺『…ごめんな、連れて行ってやることが出来なくて…。』
『ねぇ、行きましょうよ。』
『行きたい、行きたいー。』
俺『ほんと、ごめんな。』
『○ッキーに会ったらねぇー、えーっとねー。』
俺の目から涙が一粒流れ落ちた。
俺はまたテレビのリモコンを手に取る。
『今日、学校でパパの似顔絵かいたんだ。』
『あら、上手に描けてるわねぇ。ねぇ、あなた。』
【解説】
『俺はまたテレビのリモコンを手に取る』
から最初の言葉
『今日、学校でパパの似顔絵かいたんだ。』
『あら、上手に描けてるわねぇ。ねぇ、あなた。』
が繰り返されたことで、
語り手は一人でホームビデオを見ていることがわかる。
映像の中の妻と子供の会話に合わせて、
独り言を言っている。
なぜ語り手は
一人で映像に対して独り言を言っているのか?
それは、このホームビデオの後、
ディズニーランドに行く前に
事故で語り手以外が死亡してしまったため。
そのため、語り手は
妻と子供をディズニーランドに連れていけなくて
謝っている。
自分の事故によって
二人を死なせてしまったという懺悔もありそうだ。
語り手はこの悲しみを背負って
ホームビデオを見続けるような
廃人になってしまうのだろうか…