『あのねお母ちゃん!
きょう夢でね
お兄ちゃんが赤い折り紙で飛行機作ってくれたんだ!
そしたらね!おにいちゃんもおそらに浮いちゃったんだ!
おにいちゃんはお家もう出ていっちゃったのにね!』
病弱で細身の一人娘。
今はベッドで寝たきりの一人娘とそんな話をしているとき連絡が入った。
後日、息子は帰ってきた。
『お母ちゃん、おにいちゃん、私より不健康な体してるね!』
【解説】
赤い折り紙→召集令状
兄は戦死して(おそらに浮いて)
骨(私より不健康な体つき)になって戻ってきた。
骨を見て
『お母ちゃん、おにいちゃん、私より不健康な体してるね!』
と言えるこの子は一体何歳なのだろうか…
いくらなんでも骨を見て
『不健康な体』という発想は出てこないはず。
死亡したために骨として帰ってきたのであれば、
遺骨となっているはずなのだから…。
しかし、不健康な身体と言われると…
なんとなく骸骨のように人の形を留めているように思う。
そんなものが帰ってきたと勝手に想像をしてしまい、
ゾワッとしてしまった。