「この湖にはね『怪物』がいるって言われてるのよ」
「何かの間違いでしょ。木の枝や光のきらめきを生き物と間違えたのよ」
「いや、いるんだって!」「いないわよ!」
「おれもここにずっと住んでいるけど見たこと無いなー!」
「ほら見なさい!いないのよ」「いるって!」
【解説】
『おれもここにずっと住んでいるけど見たこと無いなー!』
この部分こそがこの湖に住んでいる怪物である。
二人は議論に白熱しているため、
誰が言ったのか気にも留めなかった。
そして、怪物自身は自分のことを怪物なんて自覚はないため、
自分のことで言い争っているなんて思っていない。
だからこそ、
『見たこと無いなー!』
と言っている。
「いない」ということは証明できないし、
ここまで熱くなる議論でもないのだが・・・。
怪物は普通に言葉を発しているし、
なんだか言葉遣い的に人懐っこい。
なんだか人(?)が良さそうな怪物である。
ただ、いきなり会話に加わるところは
めんどくさいところかもしれない。