とある町で起こったこと。
1人の男がある部屋に監禁された。
男がめを覚ますと声がした。
「そこのダンボールの中から両面が同じ模様のコインを見つけろ」
目の前には大きいダンボールがあった。
開けてみると中にはたくさんのコインが。
「両面同じものを見つけたら、
机の上にあるポラロイドを使ってコインを撮るんだ
見つけるまで帰れはしない。
写真はそこのFAXで送れ。」
もちろんFAXには決められた番号にしか送れないようになっていた。
男はダンボールの中を全力で探した・・・。
そして両面同じコインを見つけた。
写真を撮ってFAXで送ろうとしたとき男は気づいた。
もう、一生この部屋から出られないのだと。
【解説】
ポラロイドカメラでは
コインの裏表を同時に撮影することはできない。
そのため、両面が同じ模様のコインとは立証することができない。
鏡があったとしたら撮れそうであるが、
「2枚重ねて撮ったんだろ?」
なんていちゃもんつけられそうである。
コインを捻じ曲げれば
裏表を同時に撮ることができそうだが、
さすがにコインの形を変えてしまっては
それこそまずいことになりそうである。
…ただ、監禁した人は
『そこのダンボールの中から両面が同じ模様のコインを見つけろ』
『両面同じものを見つけたら、
机の上にあるポラロイドを使ってコインを撮るんだ
見つけるまで帰れはしない。
写真はそこのFAXで送れ。』
と言っているだけで、
両面を同時に写せとは言っていない。
単純に両面が同じ模様のコインを探してほしくて、
見つけたコインの写真をFAXで送り、
監禁した人が確認しに来た結果、それで解放されました、
なんて話にはならないのだろうか?
語り手が勝手に
『写真を撮ってFAXで送ろうとしたとき男は気づいた。
もう、一生この部屋から出られないのだと』
と思いこんで、
そのままFAXで写真を送らずに
一生部屋から出ることができなかった、
となったら思い込みの怖さを感じてしまう。
とりあえず、適当でもいいから
FAXで送ってもらいたいものである。
送るのは一回きりとも言われていないし、
裏表を撮る手段がないのであれば、
その写真を送るしかないのだから。