小さいとき、田舎の祖父の家によく遊びに行っていた。
いつも祖父の畑仕事についてってた。
祖父の畑のそばには、
周囲の畑の持ち主共同のトイレがあったの覚えてる。
子どもの俺はイレギュラーに便意をもよおしていたため、
畑のそれは非常にありがたかった。
だがそこを使うとき、祖父がいつもこう言っていた。
「あの便所には青手がおる。
下からぬっと出てきて、
ちんちんを引っ張って下に引きずり込もうとする。
でも、下をずっと見ていれば絶対に出てくることはない。
だから、絶対に最後まで便器の中を見とくんやぞ」
青手とは妖怪の一種みたいなものだろうか?
こんなことを、祖父は何度も何度も真剣な顔で言うものだから、
小さかった俺はトイレをしている最中、
一切下から目を離すことはなかったw当たり前だw
いま考えると、ずっと下を見ていたところで何の意味があるのだろうw
てか青手ってなんだ?!
そもそも、外でトイレするのがよっぽど嫌だったのか、わざわざ怖い思いしてw
怖がらせようと必死な祖父が懐かしい・・・
【解説】
本当に出てくるのは下からだったのだろうか?
実は頭上に現れる何かを見せないために
機転を利かせて下から出てくる
青手の話をしたのではないだろうか?
ただ、
語り手が『小さい頃』で、
場所は『田舎』
そして、
『あの便所には青手がおる。
下からぬっと出てきて』
と言っていることから
きっとボットントイレ(汲み取り式便所)なのだろう。
怖くなくなってしまうが、
語り手がそのトイレに落ちてしまう心配があったため、
ちゃんと注意をするように
青手という妖怪を意識させてこんな話をしたのではないだろうか?
そう考えると、
『怖がらせようと必死な祖父が懐かしい』
と、実際に怖いから言っているわけではないため、
頑張って怖がらせようとしているのも頷ける。