都内に住むある家族は、このところ奇妙な、
姿の見えない迷子ともいうべき訪問者に悩まされている。
廊下や扉の向こうに突然気配のみが現れるのだが、
どうやら迷い込んだ当人も本意ではないらしい。
家族の誰も、その迷子のような幽霊じみた存在を
気にかけないようにしてやり過ごしているのだが、
最近頻度の増してきた
「おーい」
という呼びかけに応えるべきかどうか悩んでいるという。
【解説】
『姿の見えない迷子ともいうべき訪問者』
を
『迷子のような幽霊じみた存在』
としている。
つまり、幽霊ではないと考えているということ。
正直幽霊としか思えないのだが、
一体なぜ…?
仮に幽霊ではないとして、
透明人間のような存在であった場合、
『おーい』
という呼びかけじゃなくて、
呼びかけている相手に触ったり、
普通に会話すれば良いはず。
にも関わらず呼びかけしかしない。
となると、この呼びかけに応えてしまった時、
恐ろしい出来事が待っているのではないだろうか。
…以上から、結局悪霊の類のように思えてしまうのだが、
なぜ『迷子のような幽霊じみた存在』と言っているのだろうか…