私はどうやら閉じこめられているようだ。
縛られてはいない。
脱出できる所は見当たらない。
窓はあるにはあるが、出入りできる大きさではない。
食料も一応用意されている。
他にも雑多な物が置いてあった。
外からは人の声が聞こえてくる。
助けを叫んでみたが、返事は無かった。
外は静かになった。
なぜだか分からないが私は一刻も早く脱出しなければならないと思った。
しかし、それはもう手遅れだった。
【解説】
『窓はあるにはあるが、出入りできる大きさではない。
食料も一応用意されている。
他にも雑多な物が置いてあった。』
つまり、棺桶の中で目が覚めた。
『外は静かになった。
なぜだか分からないが私は一刻も早く脱出しなければならないと思った。
しかし、それはもう手遅れだった。』
手遅れだった理由は、
もうすでに火葬炉の中に入れられてしまったため。
だから人の声がしていたのに、
外は静かになった。
これから火がつき、
ものすごく騒がしくなるだろうが…
すでに火葬まで進んでいるため、
語り手が亡くなったと判断されてから
そこそこ時間が経っている。
にも関わらず、目を覚ましてしまった語り手。
苦しみながら焼かれてしまうことになる…
こうやって亡くなったにも関わらず、
目を覚ましたような話を読んだりする。
それが本当かどうかはわからないが、
やはりそのまま生活はできず
一日経たずにまた亡くなってしまう話が多い。
そうなるとこの語り手は
苦しむためにちょっとの間生き返ってしまったことに。
悲しいことである…。