会社にリストラされて自殺を決意したが、
一人で死ぬ度胸が無かったオレは自殺サイトで仲間を集った。
すると三人の男女から返信があった。
数日後オレたちは田舎の小さなペンションに訪れた。
もちろん自殺するために。
夜になり死ぬ前の最後の酒盛りをしてそれぞれの身の上話をした。
「ここ熱いね、パチパチうるさいし、臭いし」
と女の子が言うから、みんなでドライブすることになった。
もう飲酒運転なんて関係ない、どうせ死ぬんだから。
車内でも互いの話で盛り上がっていたら、
オレはみんなに親近感を覚えて急に死ぬのが嫌になってきた。
「なあ、やっぱり自殺するの止めない?
オレ、お前たちとはいい友達になれそうな気がするんだ」
思い切って打ち明けると、みんなシクシクと泣き出した。
隣にいた女の子がオレを見て言った。
「…もしかして、気付いてないの…?」
【解説】
『ここ熱いね、パチパチうるさいし、臭いし』
「暑いね」ではなく、
『熱いね』と言っている。
また、パチパチと音がしていることからも、
何かが燃えている?
熱くてパチパチという音までしているのであれば、
燃えているのはこの田舎の小さなペンションだろう。
そして、最後の言葉
『…もしかして、気付いてないの…?』
というところから、
登場人物はすでに全員自殺を完了した後と思われる。
とはいえ、話の流れだけでは、
いつどうやって死んだのかわからないのだが…
なので、もしかしたら、
田舎の小さなペンションを燃やして、
その中で酒盛りしながら焼身自殺しようとしていたが、
『ここ熱いね、パチパチうるさいし、臭いし』
という理由から焼身自殺をやめ、
車内で死ぬことにした。
そして、
『…もしかして、気付いてないの…?』
という言葉からすでに死ぬ以外の選択肢が
残されていない状況ということだろうか…