「今月下旬に○○地方で巨大地震と巨大津波が発生し、
数万人規模の死者が出るでしょう。」
有名な地震学者が予言した。
「これは大変だ。急いで引越ししなきゃ。」
俺は地図を広げて物件を探し、
片っ端から不動産屋に電話した。
幸いにも、条件の良い安い物件を見つけることができ、
膨大な荷物と共に引越した。
地震や津波が絶対に来ないであろう安全な場所でその時を待ったが…。
地震は来なかった…。
絶対に許さない。あの嘘つき学者の野郎。
せめて引越し代くらいは請求してやる。
はぁ…、俺はこれから何回引越しをすればいいんだろう…。
【解説】
語り手は津波が来ることを望んでいる。
語り手は引越し場所にいたわけではなく、
『地震や津波が絶対に来ないであろう安全な場所でその時を待った』
とあるので、語り手持ってきた膨大な荷物の中に
処分したいものがあるということだろう。
普通に処分することはできず、
しかも大きな荷物になるもの…
となると、”遺体”ということになるだろうか。
津波に乗じてその”遺体”が流されれば、
その遺体が見つかることすらないかもしれないし、
仮に見つかり、死亡推定時間が異なっていたとしても、
語り手が疑われることはまずない、ということだろうか。
とはいえ、そんな遺体を持ち歩いている方が不自然であり…
今まで捕まっていない方が不思議である。