「10万円借りるの。ねっ、保証人になってぇ~。」
彼女は甘えた声で言った。
「10万円だったら俺が今…」
「ダメ!あなたから借りたら、私たちの関係がお金の関係になるでしょ?
あなたと私は男と女。ねっ、保証人になってぇ。」
「そうかぁ…。よし、分かった。なってあげるよ。」
「ありがとう!すいませ~ん、ここ、シャンパン!もちろん、私の奢りよ。」
う~ん、俺は彼女のこの小悪魔みたいな笑顔に弱いんだよなぁ…。
【解説】
『ねっ、保証人になってぇ』
保証人の前に必ず『ねっ』がついている。
つまりこれは、
「根保証人になってほしい」
ということである。
根保証とは、
”融資枠に対して連帯保証すること。
たとえば、当初連帯保証している債務額が500万円でも、
1000万円までの根保証契約にサインしている場合、
債務者はその枠いっぱいまで追加融資を受けることができる。
追加融資の際には連帯保証人に連絡を取る必要がないため、
後になって連帯債務額が大幅に膨らんでいることを知る羽目になるケースが多い。”
(事業再生用語集から引用)
小悪魔みたいな笑顔に弱いとあるが、
心の中は悪魔そのもの。
語り手は10万と思っているが、
語り手が知らないうちに枠いっぱいまで借りられているだろう。
連帯保証人に連絡を取る必要はないため、
気が付いた時には後の祭りである。
そして、当然根保証人となったら、
彼女はいなくなってしまうだろう。
それにしても…お金借りる立場の人が
シャンパンをおごるってどうなの?
って思ってしまうんですけどね。