【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】タイムマシンの試作機

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ここはとある研究施設。


タイムマシンの試作機がついに完成したとかで

 

出資者たちが集まってきております。


「この馬鹿にされてきた計画も、

 

ようやく実を結ぶようで出資した甲斐があったというもの」


「いや、まったくです」

 

と出資者たちは述べておりますところに研究所所長の手招きで

 

金属製の大きな玉のようなマシーンに乗り込んでいきます。


グォーンという機械音のあとに眩い光の点滅が起き、

 

そのあと気を失いまして


再び目を覚ましたときには、外に戦国時代の光景が拡がっておりました。

 


「ホラ、あそこにいるのは織田信長です」


所長が指さすところには甲冑を身にまとった

 

信長らしき人物が陣をかまえております。


「大丈夫なのかい?斬られたりしたらたまらん」

 

「いや、まったくです」


出資者たちのそんな不安を打ち消すように所長が


「大丈夫ですとも。南蛮かぶれの信長には

 

火縄銃のレプリカを数百挺ほど献上すれば機嫌が良くなります」

 

そんなこんなで事はトントンと運びまして、

 

信長に気に入られた出資者たちを交えて歓迎の宴が始まりました。

 

呑めや踊れの宴も大にぎわいで、

 

夜空には大玉の花火がポンポ-ンと何発も打ち上げられ


秀吉などは「たまやー」と威勢よく叫んでおります。


やがて宴も終わり夜明け前には現代に帰ることになりました。


来たときと同じように再びグォーンという機械音のあと、

 

光の点滅に失神し


気がつくと元の研究施設に戻ってまいりました。


「いやー、じつに凄い体験でしたな」

 

「いや、まったくです」

 

「もう完成ではないのかね?」


そんな出資者たちに研究所所長は


「いやいや、これはまだまだ試作の段階でして


ちゃんとしたモノにしないと何が起きるかわかりませんから


完成させるためには、このあとも出資をどうかお願いいたします」

 

「うちは100億出資しよう。完成すれば何百億、

 

いや何千億の儲けになるか、今から楽しみじゃわい」


「私のところも100億」


うちも、うちもと満足げな出資者たちでございましたが・・・


さて、数日後、出資の続投を受けた研究施設はもぬけの殻になっていて


研究所所長たちの消息がわからなくなってしまいました。


そんな状況にも出資者たちは呑気なものでして


「いやはや、いったいどの時代に行ったものやら・・・」

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1582年4月14日にポルトガル人のイエズス会宣教師が
現在の大分県臼杵市にあった聖堂で花火を使用したという記録あるらしい。

 

織田信長は1582年6月21日の本能寺の変で自害したが、
先述の話を使用した時期よりほんの少しだけ後とはいえ、
実際はそんな花火を楽しむような環境にはいないだろう。

 

そして、日本人はこの時期にすでに花火を作っていたのかはわからないようだ。

 

戦の最中にも関わらず、貴重な火薬をそのようなことに使うはずがない、
という主張もある。

 

実際、日本人として初めて花火を鑑賞したのは
徳川家康(1613年)が初めてと言われている。

 

そして、「たまやー」と叫ぶようになったのは
鍵屋、玉屋の二台花火師の時代を迎えるようになった
1800年前後の江戸時代の話である。

 

以上のことから、タイムマシンは偽物であったと言える。

 

出資者たちは気を失わされ、
戦国時代の光景をあたかも見ているかのように
お芝居をされて騙されてしまった。

 

お金を出させることに成功した研究所所長たちは
そのお金を持って逃げ出した。

 

出資者たちはタイムマシンのテストを行っていると考えているため、
騙されたことに気づいていない。

 


それにしても…ポンと100億を出して、
この余裕の出資者たち…

 

騙されていないから、というのは当然ありつつも、
100億をポンと出せるということは、
そこまで手痛い額ではないのだろう。

 

その額の大きさに私は震えてしまうのだが…。