私は最近、登山を始めた。
ある日、山を登っていると、居合わせた女性と仲良くなった。
彼女は慣れていて、ベテランのような感じがした。
リュックからは、見たこともない道具が覗いていた。
始めて二ヶ月の私は、付いていくことにした。
彼女はいろんな話をしてくれた。
仕事が上手くいっていないこと。彼氏に振られたこと。
私は話を聞き、相談にも乗った。
山の頂上近くまで来た所で、彼女は「花を摘んでくる」と言って行ってしまった。
その時の表情は、今までの彼女とはどこか違っていた。
私はしばらく考えていたが、意を決して後を追いかけた。
【解説】
『花を摘む』とは登山用語で『トイレに行く』こと。
登山家では常識でも語り手はまだ登山を始めたばかりでわからなかった。
女性も色々と辛い話をしていたため、
トイレを我慢して顔が強張っていたのに、
その表情を見て「自殺するのでは?」と勘違いして、
追いかけてしまう語り手。
果たしてこの後は…?