会社から帰宅してきてポストを開けると、紙切れが一枚入っていた。
そこには殴り書きの汚い字で何か書かれていた
文字はかすれていたが、何とか判読する事が出来た。
「か ぶ と む し」
…??
意味がさっぱりわからないが、
近所の子供の悪戯だろうと対して気にも止めなかった。
風呂から上がり、缶ビールを開けて至福の一時…!
…のはずが、…ぬるい!
どうやら、とうとうボロ冷蔵庫め!ブッ壊れやがったか。
常温のビールなど飲めたもんじゃない!
…私はブツブツ独り言を吐きながらも、
仕様がないので今からコンビニに行くかどうか迷った。
…が、風呂あがりで出かけるのも面倒臭い。
時計を見ると午後10時。
…妻は、残業で帰りが遅くなる旨のメールが先程あったばかりだが、
もしかするとそろそろ帰ってくるかもしれない!
…そんな淡い期待を込めて、妻のケータイにかけてみた。
聞き慣れた着メロが、キッチンの方から聞こえた。
【解説】
『かぶとむし』
はカタカナで
『カブトムシ』
と書かれていた。
『カブトムシ』と書かれた紙をひっくり返すと
『ツマイレタ』と読めるようになる。
(殴り書きなので無理やり感あり)
つまり、冷蔵庫の中に妻が入れられているのだろう。
冷凍庫の中にでも押し込まれているのだろうか…。
着メロがキッチンの方から聞こえたということは、
もしかしたら犯人がまだそこにいるかもしれないし、
冷蔵庫の中から聞こえたのかもしれない。
(キッチンの方に冷蔵庫がある場合)
犯人がいるのであれば、紙を入れておく必要はないので、
冷蔵庫の中に押し込められている妻が持っている携帯が鳴った、
と考えるのが適切だろうか。