昔から霊感の強かった叔母は、その日もイヤなものに出会ったという。
前から自転車を一生懸命こいでるおばちゃんが目に入った。
坂道でもない平坦な道なのに、そのおばちゃんは汗をかきながら苦しそうに自転車をこいでいる。
はて?
そう思った叔母が遠目ながらその自転車のカゴを見ると、
なんと生首が乗っかっているではないか。
眼球が無くぽっかり空いた空洞が、そのおばちゃんをにらんでいた。
「あれはとんでもなく悪い霊だ、あの人に教えてあげなきゃ…。
でも、まともに相手してくれないだろうけど…。」
と、叔母はそのおばちゃんに話しかけようか迷っていたが、
やはりこのままでは良くないと伝える決意をした。
そして、いよいよそのおばちゃんとすれ違うとき。
「あの」
と言い掛けたその瞬間、おばちゃんがポツリと言った。
「知ってます」
【解説】
『知ってます』
ということは、そのおばちゃんも見えているということ。
つまり、カゴに乗っている生首は本物の可能性が高い。
さすがに生首乗せている人に声をかける人は
普通はいないから、声かけられたとしたら、
幽霊だと思われたから即『知ってます』と答えた…ということだろう。
そんなに対応できる冷静さがあるのは
すごいと思うが…。
にしても、本物と幽霊を勘違いする霊感は
実生活に支障が出る気がするんだが…。
そこが気になってしまうところ。